沖縄の地で、二人の選手がピッチで久しぶりに躍動した。
19日の沖縄SVとの練習試合でプレーした江川湧清。
「久しぶりのピッチでドキドキしました」
2019年4月に右膝前十字靭帯再断裂し、5月に都内で手術。全治まで10ヶ月と診断された中で、チームトレーナー指導のもと、リハビリを続けてきた。はやる気持ちをおさえ、松葉杖をついていた当初から約9ヶ月後のピッチ。
「頑張っているね」
キャンプを訪れたV・ファーレン長崎U-18時代の恩師、松田浩育成部長に声をかけられると、表情を緩めて発したのが冒頭の言葉だ。
この日のガンバ大阪との練習試合にも出場。縦横にハツラツと走り回り、汗をピッチに振りまいた。
大竹洋平のフリーキックに反応して、ゴールを決められたのは、長いリハビリを乗り越えたご褒美と成果。
「課題はたくさんあります。でも、たくさんのことを経験できて勉強になっています。ゴールは、相手がゾーンで守っている中で、空いているところを狙っていました。そうしたらボールが来たので、体で押し込みました。心の底からうれしくて叫びたかったのですが、練習試合なので心の中でものすごく叫びました(笑)」
そういって笑う表情には、19歳の若さと、プロサッカー選手2年目のたくましさがあった。
2本目の残り10分。慌ただしくベンチ裏で準備に勤しんでいたのは名倉巧。
ピッチに立てる喜びが体全体に出ていた。
名倉が、右大腿骨内顆軟骨を損傷したのは昨年7月の天皇杯2回戦。都内の病院で手術を実施して全治5ヶ月。懸命なリハビリと精神を保ち続け、真新しい14番の練習試合ウエアに身を包んで、タッチライン脇で交代の時期を待っていた。
「長い期間でした。早くサッカーがやりたい思いでした。トレーナーの方々が親身になって指導してくれたおかげで、ピッチに立つことができました」
久しぶりの復帰が、沖縄の地というのも何かの縁か。
「前所属のFC琉球のホームスタジアムでのプレーとなりました。プロとしてのキャリアをスタートさせた所ですから、初心に戻ることができました。これからも成長できるように頑張ります。ゴールとアシストにこだわっていきます。あっ、もう2度とケガはしません!」
2020年のV・ファーレン長崎は、既存選手、ケガから復帰した選手、そして新加入選手がクロスオーバーしている。
お互いが高め合い、2020シーズンに最高の描きをしようとしている。
この日の二人の復活に、長崎の強さの伸びしろを見た。